2012年のOrt-d.dはこんな感じ

シアターカンパニーOrt-d.dの2012年を綴る、演出家倉迫の活動記録

2012年の抱負代わりに

2012/01/08 Sun [Edit]

演劇業界は演劇ムラなんて言われて、その閉鎖性は内外から自明のこととされ、問題視されている。まあ、だから「演劇を開こう」という言葉が力を持つし、僕もそれに努めてきたつもりだけれど、最近ではちょっと違う考えを持ち始めている。

「演劇を開く」というと、とかく演劇ムラから外に打って出ようという話になりがちだが、実は外へは出たものの、その外もまた閉鎖的な業界(ムラ)であったり、行き詰まった閉塞状態であったりで、結局は演劇ムラと他のムラとの間で宙ぶらりんになってしまうことが多かったように思う。演劇ムラの外にはもっと開かれた別の何かがあって僕らも早くそれにアクセスしなきゃ、というのは幻だったのではないだろうか。

じゃあ閉じようというわけでは断じてない。「演劇を開く」ためには、演劇ムラを僕らが出ていくのではなく演劇ムラに人を招き入れることが大事なのではないか。つまり、「開く」とは「出て行く」態勢を整えるだけではなく「招き入れる」もしくは「迎え入れる」態勢を整えることだと思うのだ。

たとえば原子力ムラとか呼ばれているように、○○ムラというのは「業界内部を特殊な事情が支配している」と見えているというニュアンスがある。それはつまり外部からの訪問を拒否している空気があるということだろう。

演劇ムラは「村」になればいい。演劇街とか演劇都市とか演劇国家になどなることはない。ていうかイメージできない、なんだそれ(笑)。そこに人が訪れたい魅力的な村になればいい。コミュニティや村落的共同体という「互いの贈与によってつながる社会」の復活が叫ばれながら、実際は地縁・血縁による昔ながらのコミュニティの建設は困難だろう。では僕らは何によってつながるのか。多分それは人生の楽しみ(人生における「興」「愉」)の贈与ではないかと思う。その村に行けば「興」や「愉」の贈与のつながりがある。その魅力によって永住する人、体験入村する人、観光する人を招き入れ、迎え入れればいい。

こうした「村」を本当に作れれば、実は地理上の距離や国境は超えられる。また、そうなれば自然と「演劇村(ムラ)」という呼称は消えるだろうし、いわゆる利益基準の市場価値とは違う価値がより明確になるだろう。そして、その「村」に人々を招き入れ、迎え入れるためには小さな共同体としての「劇団」が重要だと僕は考えているのですが、それについてはまた機会を改めて。

そんなことを胸に抱えつつ、今年も演劇活動に邁進する所存です。
2012年もよろしくお願いします。



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プロフィール

  • Author:クラサココウジ
  • 舞台演出家、放送作家
    1969年生まれ。宮崎北高校卒業
    高校時代はハンドボール部に所属。
    早稲田大学政治経済学部政治学科卒業
    ゼミでは近代日本政治思想を学ぶ
    サークルはテレビ放送研究会
    大学卒業後、演劇活動を開始する同時に
    フリーランスの放送作家としても活動開始
    現在は、シアターカンパニーOrt-d.d主宰
    にしすがも創造舎アソシエイト・アーティスト
    洗足学園音楽大学非常勤講師
    桜美林大学非常勤講師

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